ライトオン大量閉店の裏側!老舗ジーンズ巨塔が下した苦渋の決断
ライト オン 閉店の知らせが全国の街並みを静かに揺るがしている。郊外の幹線道路沿いや大型モールを歩けば、かつて見慣れたあの青い看板に「完全閉店」「感謝セール」の赤い垂れ幕が下がる光景に出くわす機会が明らかに増えた。アパレル小売業の激震地となった今、ジーンズを軸にカジュアルファッションの黄金期を築き上げたパイオニアに、一体何が起きているのか。
週末の家族連れで賑わう光景が日常だったブランドだけに、相次ぐライト オン 閉店の報せに戸惑う消費者は少なくない。だが、これは単なる業績不振による縮小劇ではない。創業以来のビジネスモデルが限界を迎えるなか、生き残りを賭けて仕掛けられた大規模な外科手術なのだ。
なぜ大量閉店に至ったのか?ショッピングセンター依存と市場の急変
かつて株式会社ライトオンは、ロードサイド店舗で全国制覇を成し遂げた後、2000年代以降に急増した大型ショッピングセンターへ怒涛の出店攻勢をかけた。週末になれば家族全員の衣類がワンストップで揃う。この成功体験こそが、皮肉にも足枷となった。
風向きはあまりにも早く変わった。ファストファッションの台頭、そしてECの浸透だ。手頃な価格でトレンドを追う若年層はユニクロやGUへ流れ、こだわり派はスマホ片手にブランド直営サイトへ向かう。中間層をターゲットに据え、NB(ナショナルブランド)の仕入れ販売に依存していたビジネスは、モールの客数減とともに急速に採算ラインを割り込んだ。高い家賃負担と人件費が、じわじわと体力を奪い続けていったのだ。
株式会社ワールドとの電撃提携!再建のキーマン藤原祐介氏が描く絵図
この危機的状況を打破すべく、同社が選んだパートナーが大手アパレルの株式会社ワールドだった。資本業務提携という名の事実上の救済劇。業界内には衝撃が走ったが、内実を見れば極めて合理的な合流と言える。
指揮を執る代表取締役社長の藤原祐介氏は、創業家出身のプライドをかなぐり捨て、抜本的な事業再生へと舵を切った。ワールドが誇る高度なサプライチェーンマネジメント(SCM)や、不採算店舗の再生ノウハウをフル活用する狙いだ。藤原氏の狙いは明確だ。自前の在庫リスクに苦しむ旧来型のセレクトショップから、筋肉質でデジタルと実店舗がシームレスに繋がる次世代型業態への脱皮である。痛みを伴う提携だが、もはや躊躇している時間は残されていなかった。
閉店ラッシュの対象店舗に見る共通点と全国リストの傾向分析
閉鎖された店舗のリストを精査すると、明確な選別の基準が浮かび上がる。決して無差別に店を畳んでいるわけではない。
第一に、商圏が重複した地方都市のショッピングセンター内インショップだ。同一地域内に複数店舗を構えて自社競合に陥っていた拠点は、容赦なく整理対象となった。第二に、築年数が経過し、設備投資の回収が見込めない初期型のロードサイド独立店舗である。これらは賃料負担が重く、集客装置としての役目を終えたと判断された。一方で、都市部の高感度な旗艦店や、地域で圧倒的な集客力を誇る中核商業施設の店舗はスクラップ&ビルドの対象から外れ、最新のMD(商品構成)を導入したリニューアル店舗として生まれ変わりつつある。
「構造改革プロジェクト」の全貌:早期希望退職制度と固定費の極限圧縮
事業の再構築を成し遂げるため、同社が断行したのが「構造改革プロジェクト」だ。それは店舗網の縮小だけに留まらない。
本部機能のスリム化とともに踏み切ったのが、早期希望退職制度の実施である。長年現場を支えてきたベテランスタッフを含む人員の適正化は、組織に小さくない動揺をもたらした。しかし、損益分岐点を大幅に引き下げなければ、激変する市場で明日を生き残ることはできない。店舗の撤退費用と人件費の削減によって浮いた資金は、既存有望店舗の内装刷新や、次世代の販売員育成へと再配分されている。痛烈な出血を伴いながらも、身軽になった身体で再び跳ぶための助走期間に入ったと言える。
ECシフトの壁と活路:ZOZOTOWN・楽天市場との共存戦略
店舗を減らす以上、受け皿となるオンライン戦略の成否が社運を握る。しかし、ここにも幾重の壁が立ちはだかっていた。
自社ECサイトの刷新を急ぐ一方で、ZOZOTOWNや楽天市場といったメガプラットフォームとの付き合い方は見直しを迫られた。これまでは値引き合戦に巻き込まれ、粗利益を削る悪循環に陥っていたからだ。現在はモールごとの客層に合わせた限定アイテムの展開や、実店舗の在庫をリアルタイムで引き当てるオムニチャネル機能の強化を進めている。「店で試着し、ネットで買う」「ネットで注文し、最寄り店舗で受け取る」。リアル店舗を持つ強みをデジタルにどう溶け込ませるか、試行錯誤が続く。
原点回帰のリーバイス復権へ——ジーンズセレクトの灯は消えるのか
ライトオンのアイデンティティは、どこにあるのか。行き着く先は、やはりジーンズだ。
同社は再構築の柱として、リーバイスをはじめとする名門デニムブランドとのパートナーシップ強化を打ち出している。低価格のPB(プライベートブランド)に偏重した結果、ブランド本来の魅力がぼやけてしまった過去への反省がある。デニムの裾上げ技術、スタッフの深い商品知識、エイジングの魅力を語れる接客力。そうした「専門店ならではの熱量」を取り戻す試みが始まっている。数を追う拡大路線は終わった。真に価値ある一本を求める顧客と深く繋がれるかどうかが、再興への唯一の道筋となる。 (出典: ライト オン 閉店(Yahoo!ニュース))